IL-13結合蛋白の分離・同定を目的として、細胞・組織膜画分抽出液からのIL-13結合蛋白のアフィニティ精製を試みた。抗Hisモノクローナル抗体をセファロースビーズに結合させ、昨年度までに作製したHistag-IL-13を混合したのちビーズを洗浄してIL-13を固層化した。蛋白精製源として3Gy放射線照射後3日目のIL-4受容体欠損マウスの小腸を用いた。これまでの結果より、この組織においてはIL-13の分泌と組織傷害が強く、かつIL-13と高親和性で結合するIL-13Rα2の発現はほとんどないことがわかっている。これまでの結果で受容体は上皮・間質のいずれにも存在する可能性があるので、小腸全体から膜画分を抽出した。Histag-IL-13と膜抽出画分を4℃でovernight混合した。洗浄の後、1)6-Hisペプチド、2)0.1Mグリシン+40mMジエチルアミンpH2.8によるchemical elution3)pH11でのchemical elutidnを行った後、結合ビーズもサンプルバファーで処理し、電気泳動を行ってCypro Ruby染色により観察した。その結果、Hisポリマーによってビーズから遊離するバンドが検出された。候補分子と考えられるバンドについては直接マススペクメトリーを試みたが、同定に至らずサンプル量を増加させる必要があると考えられた。その特異性についても現在さらに膜画分の抽出条件、IL-13Hisとの結合条件を修飾して検討中である。一方前年度に引き続きIL-13の傷害作用を組織primary cultureで解析していたところ、既知のサイトカインシグナル経路とクロストークしている可能性を示唆する結果が得られたため、この点の検討も開始している。
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