研究課題
1. 胃特異的IKKβノックアウトマウスにおける発がんモデル NF-κB活性化経路の重要なキナーゼIKKβ KOマウスは胎生致死である。そこで胃特異的KOマウスを作成するため、胃特異的IKKβ KOマウスを作成した。これらのマウスにおいて発癌剤であるN-nitrosoureaを投与し、発がんに対する影響を検討した。その結果、腫瘍が抑制されることが明らかとなった。メカニズムとしてIKKβによるDNAダメージシグナルの低下とアポトーシスの抑制によることが明らかとなった。さらに下流の分子としてIL-1alphaを同定し、IL-1RKOマウスについても同様の検討をしたところ、胃癌の発生が抑制された。2. 大腸癌におけるNF-κB活性化とその阻害による分子標的の可能性の検討大腸炎症発癌モデルであるAOM/DSSモデルを用いて、IKK阻害剤の効果をけんとうしたところ、その腫瘍発生は有意に抑制され、その分子標的療法の可能性が示唆された。大腸癌において恒常的NF-κBの活性化は約50%に認められが、この活性化は腫瘍増殖に関与していることを昨年示した。そのメカニズムの一つとして、微小環境における炎症の有無が示唆される。そこで、大腸癌細胞の培養上清によるマクロファージの活性化に対する効果の検討を行ったところ、腫瘍細胞内のNF-κB活性化依存的にマクロファージにおけるNF-κBを活性化した。さらにその下流の分子であるIL-6などのサイトカインの分泌も同様に恒常的NF-κBに依存していた。さらにこの活性化にはTLR2が必要であることを示された。現在その活性化分子の同定を試みている。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Gastroenterology
巻: 138 ページ: 1055-67
J Gastroenterol
巻: 44 ページ: 935-943
Hepatology
巻: 50 ページ: 1851-60