研究課題/領域番号 |
19390210
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30124720)
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研究分担者 |
本荘 晴朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (70262912)
芦原 貴司 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80396259)
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キーワード | 心室細動・心室頻拍 / スパイラル・リエントリー / 活動電位 / 光学マッピング / 興奮伝導 / ギャップ接合 / 湾曲効果 |
研究概要 |
本研究の目的は、心室スパイラル・リエントリーの定在化を妨げること(抜錨,unpinning)によって心室細動・持続性心室頻拍の発生を防ぎ、心臓突然死を防止する方法・技術を開発することである。本年度の研究では、ウサギ摘出灌流心臓の心筋活動電位光学マッピングを用いて、ギャップ接合を介する心筋細胞間の電気的結合の薬理学的修飾が、二次元心室筋における興奮伝導特性とスパイラル・リエントリーのダイナミクスに与える影響について解析し、スパイラル・リエントリーの抜錨を促す方法について検討した。ギャップ接合を介する細胞間電気結合を減弱すると、心室スパイラル・リエントリーのさまよい運動が縮小し(旋回中心の移動が減少)、スパイラル興奮波の安定した旋回運動が長時間持続しやすくなった。一方、心筋細胞間電気結合を増強すると、スパイラル興奮波の旋回中心近傍で減衰伝導が生じて、旋回中心が心臓内を大きくさまよい運動するようになり、房室間溝の解剖学的興奮障壁との衝突によるリエントリー停止が促進された。一点から楕円形に広がる興奮波の湾曲度(曲率)と局所伝導速度との関係の解析では、細胞間電気結合を増強すると、湾曲度が小さい興奮波の伝導速度は増加するが、湾曲度が大きい興奮波では伝導がかえって抑制されることが明らかになった。スパイラル旋回中心付近における減衰伝導にはこのような効果が重要な役割を果たすと考えられた。以上の結果から、心筋細胞間の電気的結合の増強は、興奮波の湾曲効果を高めることによって、心室スパイラル・リエントリーの抜錨を促すことが判明した。
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