1.難燃性Mgによる生体完全吸収性ステントプラットホームの研究開発 現行のステントプラットホームはステンレス製であり、患者にとっては異物である。この問題点を克服するために、我々はMg-Ca合金(製造特許有り)を用いて生体吸収性ステントを開発した。動物に植え込み、生体吸収されることを確認した。現在、臨床に向けて、材質(Mg-Ca配合比)、形状等の最適化を実施中である。ブタ冠動脈に植え込み安全性を検討する予定である。 2.生体吸収性ナノ粒子作製とコーティング技術の研究開発 生体吸収性PLGAナノ粒子を電気工学的にコーティングする新技術を開発した(カチオン電着コーティング法、特許公開)。この技術によって、「ナノDDSステント」が創製できた。 3.ナノ粒子溶出DDSステントの有効性試験と安全性試験の実施 スタチン封入ナノ粒子溶出DDSステントの有効性試験をブタ冠動脈モデルを用いて実施し、現行の薬剤溶出ステントの問題点(内皮再生不全、炎症、血栓)を克服できることが明らかとなった。さらに、霊長類(カニクイザル)腸骨動脈モデルにおいても同様の成果が得られた。現在、上記ナノ粒子溶出ステントの長期有効性試験(3-6ヶ月)が進行中である。これらの成果を実用化するために、ライセンス業務ならびにステント製造会社との交渉が進んでいる。 4.今後の方向性 ナノ医工薬学の先端技術融合によるイノベーションによって国際競争力を有する革新的低侵襲血管内医療システムを開発し、実用化を目指す。
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