研究概要 |
平成20年度には、腎幹細胞を同定する方法として、腎胎生期に出現する遺伝子が、急性腎不全の回復期に、再発現する現象を用いることが考え研究をすすめた。申請者らは腎尿細管の分化に重要な意義を持つDelta-1, Notch-Hes systemについて検討を加え、アメリカ学会雑誌へ報告した。このシステムは神経系と血液系で発生、分化に重要な役割を持つことが知られているが、申請者らは、これらのDelta-1, Notch-Hesが、腎胎生期に発現することと、急性腎不全の回復期に近位尿細管で再発現することを世界に先駆けて報告した。申請者らは、Delta-1蛋白を生合成し、培養皿にコーティングし、尿細管細胞を培養し、Delta-1が腎尿細管細胞の形態、増殖に与える影響を測定できる系を構築しつつある。この方法を用いてDelta-1,Notch-Hes systemの尿細管の再生に及ぼす影響を検討した。また同時に腎発生時の尿細管の極性の形成に重要な役割を担う遺伝子のHNF(Hepatocyte Nuclear Factor)-1の遺伝子発現についてもけんとうを加えた。 腎胎生期マーカー遺伝子の発現を指標として腎組織をコラゲナーゼ処理して、FACSで細胞を単離し、培養する。具体的なマーカーとしては、Ets1,Wnt4,Delta-1,Notchが候補であるが一般的な未分化のマーカーのc-kit. Sca-1についても検討している。
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