研究概要 |
本年度(平成22年度)は、Wnt4の遺伝子座に蛍光タンパク質GFPを導入したマウスを作製している。具体的には、マウスWnt4遺伝子の上流域16kbを単離し、GFP遺伝子に結合させ、マウスES細胞に遺伝子導入をし、トランスジェニックマウスを作成し、胎生後期あるいは、出生後に急性虚血等の回復期に、Wnt4の発現する細胞を検出し、単離することができる。現在幹細胞のマーカーといわれているslow cycling cellの特徴に加え、新規のマーカーを導入した遺伝子改変マウスの導入により、内因性の腎尿細管細胞の同定を目指す。腎幹細胞を同定する方法として、腎胎生期に出現する遺伝子が、急性腎不全の回復期に、再発現する現象を用いることが考えられる。申請者らは腎尿細管の分化に重要な意義を持つDelta-1, Notch-Hes systemについて検討を加えている。このシステムは神経系と血液系で発生、分化に重要な役割を持つことが知られているが、申請者らは、これらのDelta-1, Notch-Hesが、腎胎生期に発現することと、急性腎不全の回復期に近位尿細管で再発現することを、平成19年度のアメリカ腎臓学会で報告している。申請者らは、Delta-1蛋白を生合成し、培養皿にコーティングし、尿細管細胞を培養し、Delta-1が腎尿細管細胞の形態、増殖に与える影響を測定できる系を構築しつつある。この方法を用いてDelta-1, Notch-Hes systemの尿細管の再生に及ぼす影響を検討した。 上記内容を学会発表し、下記の論文で発表をした。
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