研究課題/領域番号 |
19390231
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
廣岡 良隆 九州大学, 大学病院, 講師 (90284497)
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研究分担者 |
岸 拓弥 九州大学, 医学研究院, 研究院 (70423514)
江島 健一 九州大学, 大学病院, 助教 (20444804)
井手 友美 九州大学, 大学病院, 臨床助教 (90380625)
内海 英雄 九州大学, 薬学研究院, 教授 (20101694)
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キーワード | 血圧 / 心拍数 / 交感神経系 / 酸化ストレス / 脳 / 肥満 / インスリン / アンジオテンシンII |
研究概要 |
メタボリックシンドロームは肥満(特に内臓脂肪蓄積)から生じ、インスリン抵抗性及びそれを代償する高インスリン血症が病態の本態であると考えられている。そこから臨床的帰結である心血管病の発症に至る過程には高血圧が最も頻度が多く交感神経系の活性化が深く関与していることが示唆されている。本研究では、交感神経系の活性化を規定する脳幹部心血管中枢に如何なる異常が生じているか、脳内酸化ストレスが鍵となる分子機構ではないか、そうであれば如何なる治療が適しているかを明らかにしていく。初年度は、まずヒトメタボリックシンドロームに適したモデル動物を確立することから開始した。正常血圧ラットに高カロリー・高エネルギー食を与えると著明な肥満ラット群(DIO)と体重増加が普通の群(DR)に分かれることを見出した。体重増加は食事負荷後8週目から差が出てくるが12週目からDIO群ではDR群に比べ血圧上昇・心拍数の増加が認められた。さらに、尿中ノルエピネフリン排泄量で評価した交感神経活性はDIO群でDR群に比べ有意に増加していた。内臓脂肪量から計算するadiposity indexはDIO群で明らかに増加していた。重要なことにDIO群では血漿adiponectin濃度の低下、血糖及びinsulin値の増加が認められ、インスリン抵抗性を示しメタボリックシンドロームモデルとしての性格を見事に表現していた。DIO群で交感神経系活性化を伴った血圧上昇が生じていることはメタボリックシンドロームにおける高血圧発症機序として交感神経系の活性化が大きな役割を演じていることが明らかになった。さらに、DIO群にアンジオテンシン受容体拮抗薬を投与するとこれらのパラメーターが改善することを観察している。また、体重増加の程度も抑制される。以上の成績は、カロリー制限と共に薬物治療を考える際の根拠となる可能性が期待される。現在、交感神経活性化の機序として脳内活性酸素産生を評価している。
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