研究課題/領域番号 |
19390231
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
廣岡 良隆 九州大学, 大学病院, 講師 (90284497)
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研究分担者 |
岸 拓弥 九州大学, 大学病院, 医員 (70423514)
江島 健一 九州大学, 大学病院, 助教 (20444804)
井手 友美 九州大学, 大学病院, 助教 (90380625)
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キーワード | 血圧 / 心拍数 / 交感神経系 / メタボリックシンドローム / 酸化ストレス / レニン・アンジオテンシン系 / 脳 / インスリン |
研究概要 |
当該年度では、Dietary-induced obesity(DIO)ラットの脳幹部血管運動中枢(RVLM)の活性酸素が増加していることをthiobarbituric reactive-substances(TBARS)の測定によって明らかにした。さらにアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)のひとっで脂溶性が高く脳内移行性が強いと考えられているテルミサルタンの経口投与によってDIOラットのRVLMのTBARSレベルが低下した。すなわち、増加した脳内活性酸素レベルが低下したことを示唆する。同時に上昇していた血圧、心拍数、交感神経活動も正常化した。また、RVLM内アンジオテンシン1型(AT1)受容体活性化は、ras、mitogeractivated protein kinase/extracellular signal-regulated kinaseを介してcaspase-3を活性化し、交感神経活動亢進、血圧上昇を生じることを明らかにした。これはAT1受容体刺激によるNAD(P)H oxidaseの活性化による活性酸素産生から交感神経系活性化につながる重要な下流シグナル経路を提示したことになる。 さらに、脳内酸化ストレス評価法として生体計測電子スピン共鳴法(in vivo ESR)をスピンプローブとしてMC-PROXYLを用いて評価することに成功した。この手法を用いて、経口投与したAT1受容体拮抗薬により脳内酸化ストレスが抑制されることを見いだした。 臨床研究では、メタボリックシンドローム患者では血管内皮機能が低下していること、交感神経活性化、動脈圧受容器反射機能が低下していることを見出し、ARBによる治療で改善することがわかった。 以上の成果は、メタボリックシンドロームにおける高血圧発症機転として脳内活性酸素増加による交感神経活性化が関与しており、ARBによる治療の有用性を示唆する。
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