研究概要 |
腎機能が低下するほど夜間血圧が上昇することは既に報告したが、これは夜間になって血圧が日中平均の90%未満に低下するまでに要する時間が延長する現象であることを新たに発見し、2007年の高血圧学会で発表し注目を集めた。2008年の国際高血圧学会にも発表予定で、現在論文化の最終段階にある。腎機能が低下したり、尿細管におけるNa再吸収が亢進すると血圧は食塩感受性となり、同時に負荷型のnon-dipper型血圧日内リズムを呈することはAHAジャーナルにEditorial Commentary(Kimura G: Kidney and circadian blood pressure rhythm. Hypertension 51: 827-828 2008)として掲載された。我々の考え方が世界的にも認められたと考えられる。 一方、renin-angiotensin(RA)系抑制薬に血圧日内リズムをnon-dipperからdipperに正常化する作用のあることを報告した(Fukuda M, et al.: Angiotensin II type 1 receptor blocker, olmesartan, restores noctumal blood pressure decline by enhancing daytime natriuresis. J Hypertension 26: 582-588 2008)。RA系抑制薬は尿細管におけるNa再吸収を抑制するため、夜間降圧が可能となるものと考えれば論理的である。 夜間血圧が上昇すれば心血管事故に、逆に夜間降圧は心血管事故抑制に繋がると仮定すれば、心-腎連関を統一的に理解できる可能性が考えられる。この方向性で、更に検討を推進したい。
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