研究概要 |
本研究では3年の間に, Aβ, tau, α-synucleinの抗oligomer抗体を確立し, ELISA測定系とトランスジェニックモデル動物を用いてneurotoxic oligomerの制御が可能であるかを明らかにする. 平成20年度はヒト血液中, 動物モデル脳と生体資料におけるAβ oligomerを同定した. 205例め正常対照および113例のAD患者においてTAPIR法を用いて, Naturallyo ccuring anti-AB antibodyが高率に存在することを明らかにすると伴に, 若年者や動物モデルにおける出現も明らかにした. これらの抗体がMMSEや発症年齢, 病期などの臨床症状との相関はみられないが, その多くがAβ40に対する抗体であり, Aβ42のoligomerに対する抗体は極めて少ないことをあきらかにした. 正常者やAD患者ではAβ42のoligomerに対する免疫寛容があり, これらのNaturally occuring anti-Aβ antibodyがAD発症を予防できないこと, また現在開発されつつある抗Aβ免疫療法における脳出血やvasogenic edemaなどの副作用に関連する可能性がある, 今後の臨床応用における重要性な成果と考えられた. これまで作製した動物モデルの中から, ヒトα-synuclein A30P/A53Tを発現するトランスジェニックマウスにおいてリン酸化α-synuclein oligomerが蓄積し, Akinesiaなどの行動異常, レビー小体様封入体の出現, レビーニューライトの出現, ドーパミンの減少も再現することを明らかにした. このモデルではL-dopa投与によって行動障害も改善し, 4-phenilbutyricacidなどの根本的治療の候補薬のスクリーニングにも有用であることを示した. Tg2576, TauTgP301L, TgαSYNなどの作製したモデルマウスにおける最初の変化がAβ, tau, αsynucleinoligomerで有ることを明らかにして, 現在, 各種治療法による蓄積改善とこれに相関した行動障害の改善について検討を進めている.
|