研究課題/領域番号 |
19390243
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
出雲 周二 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30143811)
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研究分担者 |
久保田 龍二 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70336337)
古川 良尚 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00359978)
岡本 美佳 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (90336347)
有村 公良 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (20159510)
梅原 藤雄 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (20271140)
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キーワード | HTLV-1 / HIV-1 / HAM-TSP / エイズ脳症 / 発症病態 / 治療法 |
研究概要 |
本研究は、ヒトレトロウイルスの慢性遷延性感染が引き起こす神経障害であるHAMとHIV脳症の発症病態を、剖検例や動物モデルを用いて比較しながら解析することにより、発症機序の詳細を解明し、治療の標的となる病的機序を見いだし、病態に則した治療法を見いだすことを目的としている。エイズ脳症の発症病態について、20年度までにサルモデル・ヒト剖検例の検索により、炎症性病変とは独立して大脳皮質に星状膠細胞の障害とミクログリアの瀰漫性増勢が生じていることを明らかにした。21年度はアストロサイトに局在をし、シナプス間隙や細胞外スペースの水分子の調節に重要な働きをしているアクアポリン4の発現がエイズ脳皮質で低下していることを見いだした。EAAT-2の発現低下ときわめてよく一致し、アクアポリン4もアストロサイト機能の指標となり、エイズ脳症の皮質変性病態に関与している。 一方、炎症性病態について、これまでにHAMとHIV脳炎は末梢血から感染リンパ球・マクロファージとそれをターゲットにする免疫細胞が中枢神経組織に浸潤して炎症過程が引き起こされ、周囲組織が巻き込まれて傷害される、所謂bystander傷害であることを明らかにしたが、本年度の研究により、HAMではIL-17を産生するTh17細胞の浸潤が証明され、HIV脳炎では感染マクロファージが産生するIL-1βが炎症の持続に関与していることを見いだした。これらのサイトカインは治療の標的分子として重要である。また、HTLV-1関連多発筋炎について詳細な病理組織学的検索をおこない、筋内鞘への細胞浸潤が強いにもかかわらず筋細胞の壊死像が少なく、HAMと同様のbystander傷害機序が生じていると考えられ、レトロウイスルが引き起こす炎症病変に共通する特徴であることを示唆している。
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