研究課題/領域番号 |
19390253
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山下 俊一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30200679)
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研究分担者 |
大津留 晶 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (00233198)
光武 範吏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50404215)
サエンコ ウラジミール 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30343346)
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キーワード | 分子標的治療 / 甲状腺がん / 病態生理 / 細胞機能解析 / 放射線治療 / 遺伝子多型 |
研究概要 |
平成20年度も継続して、甲状腺乳頭癌の成因と考えられるMAPkinase系の持続的活性経路を解析し、同時に、悪性度増悪に関与するNFkBとp53に着目し、各種樹立ヒト甲状腺がん継代細胞株を用いて基礎研究を展開した。分子標的治療候補として、特異的なNFkB阻害剤が放射線照射療法との組合せにより効果的な治療効果を発揮することをin vitro及びin vivo実験系で証明した。放射線照射による細胞内DNA損傷修復機構の解析では、H2AXを指標とする蛍光顕微鏡観察下における詳細な検討を行い、遺伝子不安定性から染色体不安定性へとつながることを証明した。本系では甲状腺細胞単独以外に、線維芽細胞や血管内被細胞との共培養条件下による放射線障害防護作用があることを見出し、実際の生体内での放射線治療効果の判定に新たな分子病理学的探索を行っている。一方、甲状腺がんの幹細胞に関する基礎研究成果では、がん幹細胞の存在証明以外に、正常甲状腺細胞にprogenital cellsが存在し、リプログラミングされることを初めて証明しつつある。今後これら分化度が異なる甲状腺細胞を用いた放射線感受性や薬剤選択的効果の有無について検討予定である。 臨床展開では、甲状腺未分化がんにおけるcABL発現の増加とp53異常の関係を明らかにし、これらを分子標的とするcABL阻害剤と放射線外照射の組合せで手術不能な未分化がんの著名な縮小効果を見出すことが出来た。現在9例中4例の部分緩解を認め、QOLや予後改善への貢献と同時に、低分化がんや早期治療対策の一助への道を展開中である。なお当初計画したSNPsの解析結果を利用した放射線感受性・抵抗性に関する基礎研究に基づく分子標的治療開発は、候補遺伝子群の同定が進みつつあるが、諸問題解決の上更なる展開を予定している。
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