研究課題
本研究ではメタボリックシンドロームとその合併症を、エネルギー代謝状態の変化に伴う加齢現象すなわちメタボエイジングとして捉え、代謝性疾患から循環器疾患に至る一連の疾患群の分子機構ならびに心血管ホルモンの意義に関して検討を続けた。本年度は以下の研究成果を得た。1.代表的な血管収縮ホルモンであるアンジオテンシンII (AII)が脂質燃焼を抑制して、インスリン抵抗性を惹起することをマウス生体において示した。AII投与マウス骨格筋と培養筋細胞の双方において、AIIがミトコンドリアを減少させ、活性酸素種の産生を増加させることを明らかにした。2.レニン前駆体であるプロレニンを血管平滑筋細胞に添加したところ、プロレニン受容体を介してMAPKが活性化され細胞分裂を促進することを明らかにし、レニンによる動脈硬化症進展に、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の活性化のみならず、プロレニン受容体を介したシグナル伝達経路も重要である可能性を示した。3.高血圧自然発症ラットにおいて高血圧発症早期に大量のARBを短期間用いてレニンアンジオテンシン系を阻害することにより、高血圧を退縮させることができることを明らかにした。これらの結果は、代謝性疾患ないしは循環器疾患発症における、心血管ホルモンの新しい役割を見出したものであり、さらには、その過程におけるエネルギー代謝の変化と分子機構を明らかにしたものである。メタボリックシンドロームとその合併症を阻止する新規治療法開発の基盤となる成果であると考えられる。
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