研究課題/領域番号 |
19390268
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研究機関 | 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター) |
研究代表者 |
北林 一生 独立行政法人国立がん研究センター, 分子腫瘍学部, 部長 (20261175)
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研究分担者 |
山形 和恒 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 分子腫瘍学部, 研究員 (70311412)
勝本 拓夫 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 分子腫瘍学部, 研究員 (50469970)
横山 明彦 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 分子腫瘍学部, 室長 (10506710)
渡辺 利雄 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (60201208)
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キーワード | 造血幹細胞 / 白血病 / MOZ / PU.1 / GATA |
研究概要 |
ヒストンアセチル化酵素をコードするMOZ遺伝子及びそのファミリー遺伝子であるMORF遺伝子は、ヒト急性骨髄性白血病でみられる染色体転座により分断され、融合遺伝子を生じる。これまでに、MOZ遺伝子欠損マスの解析からMOZが造血幹細胞の自己複製に必須であることや、MOZが転写因子PU.1やAML1と結合を介してM-CSFR遺伝子やMPO遺伝子などの標的遺伝子の転写を促進することを報告した。今年度は、MORF遺伝子欠損マウスを作製し、造血における役割を調べた。MORFヘテロ欠損マウスは正常であったが、ホモ欠損マウスは出生後4週間までに致死であった。胎仔期の肝臓細胞を調べたところ、MORF欠損マウスでは造血幹細胞数が低下していた。骨髄造血の再建能を調べたところ、MORF欠損マウス胎仔肝臓由来の細胞は骨髄再建能が低下していた。MORF欠損マウスとMOZ欠損マウスと交配したところ、それぞれ単独の欠損マウスは正常なのに対して、MOZ遺伝子とMORF遺伝子の2重ヘテロ欠損マウスは出生後4週間までに致死であった。また、2重ヘテロ欠損マウスの胎仔肝臓では骨髄再建能はそれぞれ単独の欠損マウスに比べて、顕著に低下していた。また、MORFもMOZと同様にPU.1やAML1と結合してM-CSFR遺伝子やMPO遺伝子などの標的遺伝子の転写を促進することを明らかにした。これらの結果から、MORFはMOZと同様にPU.1やAML1の転写共役因子として標的遺伝子の発現を制御し、造血幹細胞の自己複製において重要な役割を担っていることが示された。さらに、MOZは転写因子GATA1及びGATA2と結合してそれらの標的因子の発現を制御していることを見出した。
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