研究課題
(1) 代表的な抗リン脂質抗体である抗β2グリコプロテインI抗体(抗β2GPI抗体)の血栓原性を明らかにする目的で、単球やマクロファージ細胞株に抗β2GPI抗体を作用させ、抗β2GPI抗体と結合ないし相互作用する細胞表面分子について、免疫沈降法により共沈させ、ウエスタンブロット法あるいは質量分析法などを用いて同定を試みた。質量分析法で同定された複数の候補細胞質蛋白の中でゲルゾリンがβ2GPIと結合していることがウエスタンブロット法で確認された。ゲルゾリンはインテグリンα5β1と共役し、抗β2GPI抗体による細胞刺激に関与する可能性が示唆された。細胞表面分子のみならず抗β2GPI抗体と結合ないし相互作用する流血中の可溶型分子についても検索中である。(2) 抗β2GPI抗体の血栓原性の機序として、抗体による単球や血管内皮細胞の活性化の結果組織因子の発現の亢進が誘導されることが挙げられる。単球や血管内皮細胞では抗β2GPI抗体による刺激によりMyD88を介し、p38MAPキナーゼ(p38MAPK)のリン酸化が起こることが明らかとなった。また、もう一つの代表的な抗リン脂質抗体であるホスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体(抗PS/PT抗体)も単球や血管内皮細胞を活性化し、その結果組織因子の発現亢進が認められるが、抗β2GPI抗体同様にp38MAPKの活性化が関与し、p38MAPK阻害剤で組織因子の発現亢進が抑制されることを明らかにした。異なる抗リン脂質抗体がシグナル伝達経路を共有している可能性が示唆された。
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