研究概要 |
1. 日本人集団において、IRF5多型と全身性エリテマトーデス(SLE)との関連を確認し、IRF5が集団を超えたSLE感受性遺伝子であることを示した。しかしながら、そのハプロタイプ構造は、ヨーロッパ系集団と顕著に異なり、ヨーロッパ系集団においてリスクハプロタイプを構成するexon6の10アミノ酸挿入、poly A signal部位多型は日本人では関連が見られず、逆に、ヨーロッパ系集団には見られないintron1のSNPに有意な関連が検出された。 2.HapMapドナーより樹立されたB細胞株のトランスクリプトームのデータベース(GENEVAR)を利用して、SNPとトランスクリプトームとの関連を解析する方法を確立した。この方法により、日本人集団においてSLEと関連するintron1多型が、IRF5自体およびIRF5によって誘導される遺伝子群のmRNA量と有意に関連することから、機能的多型と考えられることを示した。 3.LILRA2(ILTI,LIR7)は、白血球系細胞に広汎に発現する活性化型受容体であり、Th1/Th2バランスの調節や顆粒球、単球活性化に関与することが知られている。われわれは、関連解析の結果、LILRA2遺伝子のintron6に位置するスプライス・アクセプター部位を置換することにより、3アミノ酸の欠失をきたす多型が、SLEおよび顕微鏡的多発血管炎に関連することを見出した。マイナー・アリルホモ接合体からの末梢血のフロー・サイトメトリーにより、関連アイソフォームは、細胞表面に発現することが確認された。 4.IL10RB遺伝子のアミノ酸置換を伴う多型E47Kと広汎性皮膚硬化型強皮症との関連を見出した。リスク遺伝子型では、血清IL-10の上昇が認められた。
|