研究課題/領域番号 |
19390277
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
義江 修 近畿大学, 医学部, 教授 (10166910)
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研究分担者 |
稗島 州雄 近畿大学, 医学部, 准教授 (10322570)
中山 隆志 近畿大学, 医学部, 講師 (60319663)
長久保 大輔 近畿大学, 医学部, 助教 (10368293)
白川 愛子 近畿大学, 医学部, 助教 (30260285)
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キーワード | CCR4 / CCL17 / CCL22 / アレルギー / 喘息 / アトピー |
研究概要 |
抗原感作と気道への抗原チャレンジで誘導されるマウスの実験的喘息モデルは必ずしもTh2型病態とされるヒトの気管支喘息の信頼できるモデルとは言えない。そこでTh2で誘発される気道炎症をTh1あるいはTh17で誘発されるそれと比較検討した。まずOVA抗原特異的TcRトランスジェニックマウスDo11.10の脾臓細胞からOVA特異的Th1、Th2、Th17をそれぞれに最適の培養条件で誘導した。Th1はIFN-γ、Th2はIL-4、Th17はIL-17を選択的に産生した。さらにケモカイン受容体の発現をみたところ、Th1はCXCR3を、またTh2はCCR4を選択的に発現していた。ただしTh17では特にCCR6の発現増強は見られなかった。そこでこれらの細胞をBALB/cマウスに養子移入し、気道よりOVAチャレンジして気道炎症を惹起した。気道洗浄液中のサイトカイン定量では、Th1を移入したマウスではIFN-γ、Th2を移入したマウスではIL-4、またTh17を移入したマウスではIL-17の増加が確認された。また移入されたT細胞やリンパ球とともにTh1マウスとTh17マウスでは好中球の、またTh2マウスでは好酸球の著明な浸潤が誘導された。そこでこれらのマウスで低分子CCR4阻害剤Compound22の治療効果を検討した。その結果、Compound22はTh2を移入したマウスで惹起される気道炎症と気道過敏性の上昇を有意に抑制した。しかしながら、Compound22は過剰な粘液分泌に関わる杯細胞の過形成は抑制しなかった。これらの結果から、OVA特異的Th2細胞を移入したマウスではヒトの気管支喘息とよく似た病態が誘導され、CCR4に対する低分子阻害剤の治療効果が確認された。
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