研究課題/領域番号 |
19390279
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
根東 義明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00221250)
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研究分担者 |
大浦 敏博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10176828)
藤原 幾磨 東北大学, 病院, 講師 (10271909)
宗形 光敏 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (30312573)
内田 信一 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (50262184)
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キーワード | 微小単離尿細管灌流法 / 嚢胞腎 / 経上皮電位 / アポトーシス / 中心繊毛 / 管腔内圧 / ヘンレの太い上行脚 / 集合管 |
研究概要 |
小児腎嚢胞性疾患の研究にとり、尿細管各部位での病態を知ることは必要不可欠な病態解明の道筋であるが、これまでの研究では嚢胞化の過程を研究手段が必ずしも十分ではなかった。 今回、我々はこれまでの研究手法として長く用いてきた微小単離尿細管灌流法を発展させ、48時間以上の長時間にわたって生体内と同じ細胞機能を維持させた尿細管の灌流技術の確立に挑戦し、不完全ながらも96時間以上の形質維持が可能なプレパレーションを得るなど、一定の成果を生み出した。 そこで、今回この系を初年度に確立すべく、マウス腎より微小単離法により取り出したヘンレの太い上行脚と集合管について、経上皮電位を測定しながら、長時間灌流の確立を進めた。 ヘンレの太い上行脚では、FCSなどの血清成分を含まない培養液をリンゲル液で希釈した無菌的溶液を準備し、通常の微小単離尿細管灌流実験系に無菌化のための処理を施し、その上で管腔内の圧力を低圧で一定としながら保持し、平均48時間以上の尿細管細胞機能の維持にほぼ成功した。ヘンレの太い上行脚では、単離時に観察された20mV前後の管腔内陽性電位は、その後72時間以上にわたって維持されることが確認され、その電位はフロセミドに強い感受性を示したことから、上皮の性質は維持されていることが明らかとなった。残念ながら、今年度の実験では、モデル動物を利用した腎嚢胞形成過程の病態検討まで、実験技術の改良が進まず、基礎実験の一定の成果までとなった。 来年度以降、本格的にモデル動物を利用した研究に進めるよう、鋭意努力していく計画である。
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