[目的]再生不良性貧血(再不貧)患者の血液間細胞では、GATA-2の発現の低下がみられるが、GATA-2は骨髄間葉系細胞(MSC)から脂肪細胞への分化を促進する。このことからMSCにおけるGATA-2の低下は再不貧患者の骨髄係を特徴づける脂肪化に関与している可能性が考えられる。またAA患者の骨髄微小環境においては、INF-γの増加がみられるが、INF-γの増加がMSCにおけるGATA-2の発現の低下に関与しているかについても検討した。 [対象と方法]再不貧患者34人(末治療:15例、治療反応例:11例、治療不反応例:8例)と健常人15人を対象とした。MSCの培養にはMesen Cult(Stem cell technologies)を用い、実験には3-4代継代細胞を用いた。GATA-2遺伝子と脂肪関連遺伝子であるPPARγの発現はMSCからRNAを抽出し、Real time PCRで定量した。また培養系にIFN-γを添加し、同様にGATA-2遺伝子の発現を定量するとともに、ウェスタンブロット法で蛋白レベルの変化についても検討した。 [結果] GATA-2の発現は、末治療、および治療反応再不貧患者由来のMSCにおいては健常人と統計学的に有意な差はみられなくなった。PPARγの発現はGATA-2と逆相関していた。INF-γの添加によりGATA-2の発現は遺伝子および蛋白レベルで低下した。 [考案]再不貧患者の骨髄微小環境におけるINF-γの増加が、造血幹細胞やMSCにおけるGATA-2の発現を低下させ、造血能の低下とともに骨髄の脂肪化に関与することが考えられた。
|