研究課題
現在の"遺伝子治療"は何らかの手段で正規の遺伝子の場所に関係なく遺伝子を付加的に導入する方法が大部分であり、一方変異がある遺伝子そのものを修復する治療法は未だ行われていない。Bruton型無ガンマグロブリン血症(XLA)は原発性免疫不全症の代表的疾患の一つであり、免疫グロブリン補充療法が感染予防に有効である。しかし無ガンマグロブリン血症では定期的補充にも関わらず感染症を繰り返し呼吸不全になったり、エンテロウイルスによる脳炎、敗血症、消化器癌などにより死亡する場合がある。アデノ・AAVハイブリッドベクターは、高い遺伝子導入効率を示し大きな遺伝子の挿入が可能で高力価のベクターの調整が比較的容易なアデノウイルスベクターと、ゲノム染色体への組み込みにより長期間安定した遺伝子発現が可能なAAVベクターの両者の長所を兼ね備えている。ワシントン大学Dr.Lieberらとの共同研究により造血幹細胞に導入可能なAd35ファイバーを有するアデノ・AAVハイブリッドベクターを大幅に改変しBTKを含むゲノムとその近傍ゲノム、GFP遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を挿入したベクターを完成した。ヒトBruton型無ガンマグロブリン血症(XLA)モデルマウス作成も完了した。しかしアデノ・AAVハイブリッドベクターを増幅するステップでうまく行かず、ようやくうまく増幅でき培養細胞での系がうまく動くようになった。今後正常CD34陽性細胞及びヒトXLAモデルマウス由来造血幹細胞を用いたin vitroでの遺伝子導入効率・修復効率の検討、ヒトXLAモデルマウスの遺伝子修復にもとづくB細胞再構築の検討を行いたい。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
J Pediatr (印刷中)
J Immunol. 178
ページ: 3806-3813
Nature 448
ページ: 1058-1062