研究概要 |
研究の目的 小児期、特に乳幼児期の免疫系の特徴は成人と異なり自然免疫系が重要な役割を果たしており、また成長に従い獲得免疫系機能の発達が見られる。このため乳幼児期に多く認められる免疫疾患について、自然免疫系の病態に果たす役割を明らかにする。 本年度の研究実施計画 これまでの研究として、川崎病、全身型若年性特発性関節炎、周期性発熱症候群について、炎症病態における炎症性サイトカインによるサイトカインストームの特徴(各種サイトカインの発現パターン、程度など)の検討を行い、川崎病においてはIL-6、TNFα、可溶性TNF受容体の炎症性サイトカインの増加と炎症抑制サイトカインであるIL-10の増加が認められ、特に大量ガンマグロブリン抵抗症例において顕著な増加を認めた。一方、全身型若年性特発性関節炎では、IL-6、IL-8単独の増加が特徴的であったが、重症病型であるマクロファージ活性化症候群例では、IL-6のみならずTNFα、IL-1β、IFNγなど各種サイトカインの顕著な増加を認め、サイトカインストームの状態にあることが明らかとなった。 本年度以降の研究として、pyrinの多様性と炎症病態との関連性について検討を行う。周期性発熱症候群の一っであるクリオピリン関連周期性発熱症候群と家族性地中海熱症例に関して、pyrin, cryopyrinの遺伝子異常を認める疾患であり、これらの疾患と川崎病、全身型若年性特発性関節炎症例についてpyrinの発現についてウエスタンブロッティング、realtime PCRを用いて検討し、病態のメカニズムを解明する。さらにサイトカインストームにおいてこれまでの検討で、IFNγの産生が特徴的に認められることが明らかとなっており、健常乳児、小児において、マイトージェン刺激によるIFNγ産生について検討し、サイトカインストームにおけるIFNγの役割について検討する。
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