研究課題
本年度では、以下の進展が見られた。(1)CXorf6にたいするノックダウン実験:われわれは、マウスライディッヒ細胞腫瘍細胞を用いて、siRNAを使ったノックダウン実験を行った。その結果、CXorf6ノックダウンによりテストステロン産生量が有意に低下することのみならず、17ハイドロキシプレグネノロン、17ハイドロキシプロゲステロン、DHEA、androstendione、testosteroneもに比べて有意に減少すること、そしてこれに一致して、CYP17A1やHsd17b7などのテストステロン産生酵素活性の低下によることを見いだした。これは、CXorf6が、まさにテストステロン産生の関与することを示すデータである。さらに、ノックダウン実験において、ライディッヒ細胞から分泌されるinsulin-like 3ホルモンが正常であったこと、細胞増殖がほぼ正常であったことから、CXorf6は、テストステロン産生酵素の活性化に必須であると推測される。(2)ノックアウトマウスの作出と機能解析われわれは、ノックアウトマウスの作出に成功し、その解析を進めている。興味深いことに、ノックアウトマウスは、性的機能に異常はないが、高度の肥満、高血糖などのメタボリック症候群を呈している。そして、現在、食欲亢進が判明し、種々の代謝マーカーの解析を行っている。これは、メタボリック症候群の新しい関連分子の同定につながるものである。(3)ダイオキシン暴露マウスにおけるメチル化解析われわれは、CXorf6のプロモーター領域にダイオキシン関連のアリールハイドロカーボン受容体結合領域を同定した。そして、環境化学物質の暴露が外性器異常症を招く原因のとしてメチル化異常が推測されることから、ダイオキシン暴露マウスの精巣を用いて、CXorf6のプロモーター領域のメチル化解析を進めている。
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http://www.nch.go.jp/endocrinology/index.htm