研究課題/領域番号 |
19390291
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
八田 稔久 金沢医科大学, 医学部, 教授 (20238025)
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研究分担者 |
島村 英理子 金沢医科大学, 医学部, 講師 (00267741)
島田 ひろき 金沢医科大学, 医学部, 講師 (60278108)
東 伸明 金沢医科大学, 医学部, 講師 (00139784)
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キーワード | 胎盤 / 脳 / 発生 / サイトカイン / 白血病抑制因子 |
研究概要 |
【母体側LIF濃度上昇に伴う胎児側LIF濃度変化および神経細胞産生への影響】 胎齢(E)12.5、14.5および16.5日のラット母獣にリコンビナントLIFを腹腔内投与し、24時間後に母獣にBrdUを投与した。BrdU投与2時間後に胎児を摘出し、大脳脳室帯におけるBrdU-labeling index(Bl)を計測したところ、E14.5にLIFを投与した群のみで、対照群に比較して有意にBlの上昇が確認された。この結果より、母体からのLIF刺激は、胎児大脳脳室帯における神経細胞産生に対して促進的に作用するが、その感受性には時期特異性が存在することが示唆された。同時に、胎児の血清ACTH、LIF濃度および胎児脳脊髄液中のLIF濃度を測定したところ、Blの結果と同様の時期特異的な感受性が示された。 【LIFに対する胎児大脳神経上皮および脈絡叢の反応】 E15ラット母獣にLIFを投与した後、胎児における遺伝子発現をDNAマイクロアレイにて網羅的に解析した結果、大脳神経上皮では約60種類の遺伝子発現上昇が認められ、発現低下したのは3種のみであった。一方、脈絡叢では約250種類が発現変動していた。現在、発現プロファイルの詳細な検討を行っている。 【研究成果の意義・重要性】 胎盤によって伝達される母親由来のLIFシグナルが、胎児の脳発生に重要な働きをしていることが示された。この研究によって、胎児が母体のサイトカイン・ホルモンネットワークの制御化にあるとする、母-胎児間シグナルリレーのモデルが提唱された。
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