研究課題
1)移植皮膚生着過程における骨髄由来表皮細胞寄与の定量的解析致死量放射線(10Gy)を照射したマウスにgreen fluorescent protein (GFP)トランスジェニックマウス(GFPマウス)由来骨髄細胞をlxl0^5個移植してGFP骨髄移植マウス(GFP-BMTマウス)を作製した。GFP-BMTマウス背部皮膚に表皮水庖症マウス(VII型コラーゲン欠損)皮膚を移植し、その水庖部皮膚再生過程で骨髄由来GFP陽性表皮角化細胞の出現頻度を検討した。その結果、2週間後に再生表皮のおよそ40%がGFP陽性骨髄由来表皮細胞に置換されていた。さらに、移植皮膚基底膜領域に欠損していたVII型コラーゲンが供給されていた。2)骨髄由来表皮細胞形成機序:細胞融合機序の可能性検討これら骨髄由来表皮細胞出現が骨髄細胞の表皮細胞の分化によるものか、あるいは損傷表皮細胞との融合によるものかを明らかにする目的で、雄マウス骨髄を移植した雌マウスに表皮水庖症雌モデルマウス皮膚を移植し、その再生表皮細胞の性染色体をfluorescent in situ hybridization法により解析した。その結果、多数のXY染色体を有する表皮細胞が多数観察されたが、XXXY染色体を持つ細胞は調べ得た限り観察されず、骨髄由来表皮細胞は骨髄細胞の分化によることが明らかとなった。3)骨髄由来表皮幹細胞検討骨髄由来表皮細胞の長期存在を検討した。その結果、皮膚移植半年後にもGFP陽性骨髄由来表皮細胞が存在することが明らかとなった。即ち、骨髄から皮膚に生着した骨髄由来表皮角化細胞は、幹細胞として皮膚の恒常性維持にしている可能性が強く示唆された。
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