研究課題
平成19年度は、GFP骨髄移植マウス背部皮膚に移植したVII型コラーゲンノックアウトマウスの剥離表皮再生過程に骨髄由来表皮細胞が寄与することを明らかにした。平成20年度は、骨髄由来表皮細胞の骨髄内起源探索を進めた。その結果、骨髄内のPDGFRα陽性、CD44陽性細胞(P/44細胞)が表皮細胞への分化能を持つことが明らかとなった。次いで、GFPマウス骨髄細胞からP/44細胞をFACSにより分離し、野生型マウス骨髄細胞と併せて放射線照射後マウスに移植した。移植骨髄の生着を待って、背部にVII型コラーゲンノックアウトマウス皮膚を移植し、剥離表皮再生過程でGFP陽性P/44骨髄細胞由来表皮細胞の寄与を評価した。その結果、再生表皮内にGFP陽性表皮細胞の存在が確認され、骨髄内のP/44細胞が再生皮膚構成細胞の起源であることが強く示唆された。平成21年度は、PDGFRα遺伝子下流にヒストンH2BとGFPの融合遺伝子を挿入したPDGFRα/H2B-GFPマウスから骨髄細胞を採取し、新生仔マウス皮膚抽出液中に含まれる骨髄間葉系細胞-表皮細胞分化誘導活性について、ケラチン5遺伝子発現誘導活性を指標に評価した。その結果、新生仔皮膚抽出液中に、TDGFRα陽性骨髄間葉系幹細胞を表皮細胞へと分化誘導する活性が存在することが明らかとなった。一方、新生仔マウス皮膚抽出液中のヘパリン結合活性分画をマウス尾静脈に投与することにより、投与12時間後にPDGFRα陽性骨髄細胞が末梢血中に有意に増加することが明らかとなった。さらに、背部皮膚に潰瘍形成した皮膚潰瘍モデルマウスにおいて、新生仔マウス皮膚抽出液、あるいはそのヘパリン結合活性分画を尾静脈より投与することにより、著明な皮膚潰瘍縮小効果を示すことが明らかとなった。
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Tissue Eng Part A. 電子版(電子版)