研究概要 |
ノックアウトマウス角化細胞を用いた培養実験 E185のマウス胎児より表皮を剥離、角化細胞を分離・培養後、以下の実験を行った。 (1)分化誘導の阻害 分化誘導には培養角化細胞の培養液にCa2^+1.8mMを添加、あるいはpoly-HEMA coated dishを用いたsuspension cultureを行った。分化マーカーはK1, K10, Involcrin, Loricrinを、Western blot法にて検討した。その結果Ubc13ノックアウトの角化細胞では分化誘導がかかることを明らかにした。 (2)IL-1 receptorに対する反応の阻害 Ubc13はTNFおよびIL-1に対する刺激伝達にも関与すると考えられる。そこで、Ubc13KOおよびコントロールの培養角化細胞をIL-1刺激後、TAK1, JNK, p38, NF-_KBの反応性をWestern blot法、ゲルシフトアッセイ法にて検討した。その結果、コントロールの角化細胞では5-15分でいずれも活性化されるのに対して、Ubc13-KOの角化細胞では、いずれの反応性も減弱することを明らかにした。したがって、角化細胞においては、IL-1によるTAK1, JNK, p38, NF-_KBの活性化に必須であることが明らかとなった。 (3)Ubc13によるアポトーシスの阻害 Ubc13^<flox/flox>マウス角化細胞を培養し、Creを発現させることにより、アポトーシスを誘導できるかどうか検討した。Cre発現により、角化細胞のUbc13発現は24時間から減弱しはじめ、48時間では著しく発現が低下することをWestern blot法にて確認した。さらに、36時間から角化細胞はアポトーシスを起こすことを、形態学的、TUNEL法、LDH法にて確認した。以上の結果から、角化細胞においてUbc13の発現を減弱させると、アポトーシスを誘導できることを明らかにした。
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