研究課題
臨床的に軽度の認知症あるいは健常者と考えられた72症例の心理検査、髄液検査およびPIB-PET検査を実施した。軽度認知症は39名(平均年齢73.6歳、MMSEは25.9点)、健常対照群は12名(76.2歳、MMSEは28.8点)、登録時には軽度認知症と考えられたが、PIB-PET直近の検査で早期アルツハイマー型認知症(早期AD)と診断した21名(72.5歳、MMSEは20.8)も含めた。PET画像判定で、アミロイド陽性と視覚的に判断したのは、健常群では33%、軽度認知症では68%、早期ADでは76%であった。PETおよび髄液検査による有害事象発生はなかった。MCIと診断し、平均1年半後に経過観察した12症例では、MMSEおよびリバーミード検査で有意の低下を認め(P<0.01)、一部の症例でアミロイドの増加を認めた。9例は認知症に移行し、これら症例の観察前のPIB-PET検査では、PIBの集積がADに一致する所見であった。3例は認知症域ではなかったが、リバーミードで低下傾向を示し、臨床的にも悪化傾向を認め、PIB集積は初回よりも増加傾向を示した。残りの3例では、PIBの集積を認めず、2回目のPIB-PET検査でも有意な蓄積増加は認めなかった。髄液などのバイオマーカー検査にっいては、一部の測定を実施したが、測定方法に問題を指摘する意見もあり、その信ぴょう性を確認できるまで測定を待つことにした。今後、症例数の増加、特に、経過観察症例の増加により、詳細な検討とともに、信頼性の高い結果が得られるものと考える。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)
Ann of Neurology 63
ページ: 377-387