研究課題
最近、海外から[11C]NPAを用いてサルでD2アゴニスト結合を調べた研究が報告されたものの、統合失調症患者を対象にD2アゴニスト結合を調べた報告はない。[11C]MNPA(2-[11C]CH30-N-n-propylnorapomorphine)は[11C]NPAに比べ親和性が約5倍、D2/D1選択性が約20倍高く改良されており、より優れたPETリガンドである。同リガンドを用いることによって統合失調症のD2アゴニスト結合の測定が可能になる。本年度は、男性健常者を対象として、新規ドパミンD2受容体測定用アゴニストリガンドである[11C]MNPAを用いたPET検査を行った。動脈血採血を行い、血液を入力関数として用い、3コンパートメントモデル解析を行い、脳内ドパミンD2受容体のアゴニスト結合部位を定量した。さらに、小脳を参照領域として設定し、動脈血採血を必要としない簡便な定量法と比較検討した。その結果、[11C]MNPAは、尾状核、被殻で高い結合を示した。さらに、動脈血採血を必要としない、simplified reference tissue modelを用いた簡便な定量法が、3コンパートメントモデル解析とよく相関することも示した。以上より、[11C]MNPAを用いてD2アゴニスト結合の測定が可能なことを明らかにした。[11C]MNPAによるD2アゴニストイメージングは、統合失調症の病態検索に利用可能と思われた。さらに、[11C]MNPAはシナプス内ドパミン放出をより鋭敏に検出するので、ドパミン放出能の定量評価への応用が期待できる。
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