研究課題
L-[β-11C]DOPAを用いて統合失調症患者18例と健康対照20例を対象にPET検査を行い、統合失調症患者のドパミン合成能の異常を調べた。その結果、統合失調症患者では、左尾上核においてドパミン合成脳が亢進していること、視床と右側頭葉のドパミン合成脳は症状の重症度と相関することを明らかにした。以上の結果は、統合失調症において、ドパミン神経伝達が亢進しているという病態仮説、ドパミン過剰仮説を支持する所見と思われた。また、昨年度に引き続き、男性健常者を対象として、新規ドパミンD2受容体測定用アゴニストリガンドである[11C]MNPA(2-[11C]CH30-N-n-propylnorapomorphine)([11C]MNPA)を用いたPET検査を行った。動脈血採血を行い、血液を入力関数として用い、3コンパートメントモデル解析を行い、脳内ドパミンD2受容体のアゴニスト結合部位を定量した。さらに、小脳を参照領域として設定し、動脈血採血を必要としない簡便な定量法と比較検討した。その結果、[11C]MNPAは、尾状核、被殻で高い結合を示した。また、動脈血採血を必要としない、simplified reference tissue modelを用いた簡便な定量法が、3コンパートメントモデル解析とよく相関することも示した。以上の方法を用いて、健常者におけるD2受容体アゴニストサイト結合能の健常人データベースを構築した。
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