研究課題
統合失調症患者を対象に分子イメージングを用いて検査を行い、統合失調症患者のドパミン系を中心とする神経伝達異常の解明を目指した。健康被験者を対象とした研究では、ヒトにおける扁桃体の神経活動とドパミンD1、D2受容体機能との関連を明らかにした。統合失調症患者を対象とした臨床研究では、[11C]NNC112と[11C]SCH23390の二種類のPETリガンドを用いて統合失調症患者においてドパミンD1受容体結合能が低下していることを確認した。さらに、[11C]DAA1106を用いて統合失調症患者群と健康対照群を対象にPET検査を行い、統合失調症患者の末梢性ベンゾジアゼピン受容体の異常を調べた。その結果、統合失調症群と健康対照群には末梢性ベンゾジアゼピン受容体結合能に有意な差を認めなかった。さて、抗精神病薬の副作用の一つとして高プロラクチン血症がある。われわれは抗精神病薬を服用中の統合失調症患者に対して、[11C]FLB457を用いたPET検査を行い、抗精神病薬による下垂体ドパミンD2受容体占有率と高プロラクチン血症が相関することを明らかにした。側頭皮質D2受容体占有率と血中プロラクチン濃度には乖離を認めたことから、血液脳関門の外側に位置している下垂体への作用は、抗精神病薬の脳内移行性に依存することが明らかになった。さらに、ドパミンD2受容体占有率の下垂体/脳内比という抗精神病薬の脳内移行性を反映する新たな指標を提案した。
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