研究課題/領域番号 |
19390310
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
本多 真 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (50370979)
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研究分担者 |
田中 進 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (30399472)
本多 裕 財団法人神経研究所, 名誉所長(理事) (90010305)
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キーワード | 過眠症 / 遺伝子発現 / マイクロアレイ / differential diplay / 診断法 |
研究概要 |
本研究は(I)新規過眠症関連遺伝子の遺伝子発現解析に基づく同定と、(II)その遺伝子の白血球中での発現に基づく過眠症診断法の開発を目的とする。 平成19年度は、ナルコレプシー死後脳(視床下部)を用いたマイクロアレイ解析結果から同定された17の過眠症関連遺伝子のうち、白血球中で発現が確認され、安定した定量が可能な8遺伝子について検討し、5遺伝子が疾患あるいは症状と関連した発現変化を示す可能性が見出された(症例20例、対照20例)。平行して白血球でのmRNA量をdifferential display法によって比較し、疾患特異的な発理低下を示すMX2が同定された。 より正確な検討を行うために、対照群についてもHLA遺伝子タイピングを行い、ナルコレプシー特異的なHLA遺伝子型をもつ対照群、持たない対照群とナルコレプシー群のセット(各24例、計72例)を新たに選択しなおして診断指標スクリーニング系を確立し、上記5遺伝子および既知の疾患関連遺伝子を含めた計9遺伝子について、最適な実験条件を決定後RT-PCRによる定量を行った。 MX2遺伝子はHLA遺伝子型と関連して発現を変化させることが示され、HLA遺伝子型がMX2遺伝子発現を介してナルコレプシーの病態に関与する可能性が示唆された。また対照群でのみ主観的眠気と関連する遺伝子が見出された。未服薬症例が少ない問題点が判明し新たな研究協力者を増やす努力を重ねた。遺伝子発現量の変動が非常に大きい遺伝子(新規疾患関連遺伝子IGFBP3など)も存在し、遺伝子多型が発現変化に関わる可能性が考えられた。現在まで1つの遺伝子をとりあげ、プロモーター領域の遺伝子多型が発現量と関連すること、さらに同じ多型をもつ群の中で検討すると、疾患特異的な発現変化が生じる例が見出された。この遺伝子については、現在血清を用いた蛋白レベルでの比較検討を開始している。
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