研究課題
電気化学的手法によりマイクロフローセル内で^<18>F・イオンを迅速かつ効率的に捕集・濃縮し、マイクロスケールでの^<18>F・標識薬剤合成を実現することを本研究は目的にしている。初年度では、以下の1-3)の課題について研究を進め、次年度につながる成果を得た。1)^<18>F-イオンの捕集と脱着条件の最適化:電極材料としてグラッシーカーボンと白金を主に用い、捕集時のターゲット水の流速、捕集と脱着時の印加電圧、脱着時の温度、の各パラメータに関して最適化を行い、ターゲット水からの捕集効率90%、無水アセトニトリルへの脱着効率85%で、^<18>F-イオンを分離濃縮することができた。2)フローセル用ステーションとシリンジポンプシステムの試作および自動化:使い捨てのフローセルチップを固定して加熱および印加可能なステーションを設計し、ターゲット水や溶媒などをセルに流すためのシリンジポンプ-バルブモジュールを組み込んだ小型のシステムを試作した。専用インターフェイスとLabViewによる制御プログラムを開発し、PCで全自動的に^<18>F-イオンの捕集と脱着を行うことに成功した。3)有機溶媒中に濃縮された^<18>F-イオンの反応性の評価:相間移動触媒(K.222)を含む無水アセトニトリルで^<18>F-イオンをフローセルから回収し、[^<18>F]FDG合成をバッチ的に行って反応性を評価した。その結果、通常の標識反応と同等の合成収率が得られ、本システムで濃縮して取り出される^<18>F-イオンは高い反応性を保持していることが確認された。以上の結果から、平成20年度ではマイクロリアクターで種々の^<18>F-標識反応を試みることが可能となった。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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