研究課題/領域番号 |
19390312
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福田 寛 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30125645)
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研究分担者 |
岩田 錬 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (60143038)
吉岡 孝志 山形大学, 医学部, 教授 (90271981)
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キーワード | 腫瘍イメージンダ / PET / ^<18>F-フルオロデオキシマンノース / 標識合成法 / 求核置換反応 / ^<18>F-フルオロデオキシグルコース |
研究概要 |
^<18>F・フルオロデオキシグルコース(FDG)は腫瘍診断用PET診断薬として有用であるが、脳への集積が高く脳腫瘍の診断には適さないこと、炎症にも集積するなどの弱点がある。一方FDGの異性体である^<18>F-フルオロデオキシマンオース(FDM)は、申請者の過去の研究によりFDGよりも脳への集積が低いこと、血液クリアランスが早いことなど、FDGより優れたPET癌診断薬である可能性が指摘されていた。しかし、大量合成ができないために臨床応用には至らなかった。そこで、PET癌診断薬としての実用化を目的として、FDMの合成法の開発、すなわち求核置換反応による18F標識合成のための前駆体の開発と、前駆体を利用した高収率・高純度での[18F]FDM標識合成法を行った。3種類のFDM前駆体を設計・合成し、それぞれの前駆体を用いて求核置換反応によるFDM合成を試みた。3種類のFDM前駆体(1-3)の合成に成功し、FDM前駆体3を利用した標識合成では[18F]FDMを高収率(56%)、高純度(>98%)再現性良く合成することができた。また担癌ラットにおいてFDMが腫瘍に高い集積を示し、腎臓を介して速やかに排泄されていることを体内分布実験およびγカメラによるイメージングで確認できた。また、in vitroでFDMが肝癌細胞AH109Aに高い取り込みを示すこと、その取り込みがGlucose、FDGに濃度依存的に阻害されることから、FDMはグルコースおよびFDGと共通の代謝系で代謝されることが分かった。さらに、非放射性のFDMを用いてマウスの急性毒性実験を行った結果、一般状態、体重減少、死亡および剖検における異常所見などの検討項目において、問題となる毒性は観察されなかった。以上、FDMによるPET癌診断の臨床応用を開始するための基礎開発研究および前臨床試験を終了することができみ。
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