研究課題/領域番号 |
19390314
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
垣見 和宏 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80273358)
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研究分担者 |
白石 憲史郎 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (40447404)
倉知 慎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00396722)
上羽 悟 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00447385)
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キーワード | 放射線治療 / 免疫細胞治療 / CTL / MDSC / γδT細胞 / がん / がん治療 |
研究概要 |
RadiationImmunology&Immunotherapyの確立を目指して、放射線治療と免疫細胞治療に関する基礎的検討と臨床研究を実施した。担癌マウスモデルを用いて、電子線照射が腫瘍と生体の免疫系に与える効果を検討した。腫瘍を取り巻く微小環境内では、Gr-1+CDllb+のmyeloid-derived suppressor cells(MDSC)と呼ばれる骨髄系の細胞が蓄積し、ケモカインによって制御されていることを明らかにした。B16メラノーマ皮下接種モデルに対して、抗原特異的なCTLを尾静脈から投与する免疫細胞治療モデルにおける放射線照射を検討した。CTL単独では明らかな抗腫瘍効果を得ることは困難であったが、放射線照射後にCTLを投与することにより腫瘍の増殖抑制効果が確認された。所属リンパ節と腫瘍内の浸潤リンパ球を解析し、CTLの頻度を解析したところ、放射線照射によって腫瘍内へのCTLの浸潤が増加したと考えられた。 ex vivoで大量培養したγδT細胞を、骨転移に対する放射線治療後に投与する臨床研究を実施した。がん患者のγδT細胞も、健常者と同様に培養増殖させることに成功した。2例の乳癌の骨転移、3例の前立腺癌の骨転移症例の5例に対して、骨転移部位に対する放射線照射後に、末梢血の単核球を採取し、アミノビスホスホネートとIL-2を用いてγδT細胞を培養して、免疫細胞治療に用いた。前立腺癌症例1例では、γδT細胞の培養不良のため治療できなかった。前立腺癌に対する抗アンドロゲン治療を受けている患者では、γδT細胞の培養が困難であったが、治療群では病勢コントロールが得られた症例を認めた。再発、化学療法に抵抗性の患者に対する治療でありながら、重篤な有害事象を認めず、低侵襲で治療効果が確認された。
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