研究概要 |
本研究では、下記の項目について検討を行い、脳機能の診断指標として有用である可能性が示唆された。 1) 13C-化合物を用いた過偏極による感度上昇と代謝情報の取得について ; オックスフォード社の過偏極装置Hypersenseを用いて、1-13C-Pyruvate(PYP), acetate, glucose, glutamate, inositolについて信号増強程度と経時的な信号変化について検討を行い、PYPが最も適していると考えられた。FS3培養細胞についてPYPの代謝変化を観察した。培養液の違いにより、PYPからlactateへの代謝が異なることを見出し、5-FU投与により乳酸信号の上昇が認められた。13Cの感度上昇に過偏極法は有用と考えられた。 2) MEGA-PRESSによるGABA評価について : 統合失調症、自閉症、てんかん症例等についてMEGA-PRESSによるGASAの定量的評価とshort TEによるSTEAM法におけるGlutamate等の定量評価とを行い、比較検討し、GABAが病態に関係することを見出した。 3) BOLD効果の定量的評価と虚血におけるMRIによる酸素代謝指標の検討 : T2*マップとT2マップからBOLD効果の定量値と考えられるT2'マップを作成し、T2'値からデオキシヘモグロビン濃度の変化について評価を行った。脳血流との比較では、血流低下の強い部分でT2'値の低下が認められ、乳酸の上昇も伴っていることから、酸素代謝の充進(酸素摂取率の上昇)が示唆された。
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