本研究"完全一体型ESR・MRI融合装置による機能イメージングの研究"は、以下に示す3つのプロジェクトで構成されている。 プロジェクト1「完全一体型ESR・MRI融合装置の開発」ハードウエア・ソフトウエア開発 プロジェクト2「マルチモダル・プローベの開発」プローベの合成、ファントム実験、動物実験 プロジェクト3「生理機能イメージング」活性酸素の視覚化・脳疾患モデルでのイメージング 平成19年度は、プロジェクト1の完全一体型ESR・MRI融合装置の開発について、ハードウエアとソフトウエア開発を行った。開発したハードウエアについて(ESRとMRIでの共用が可能な磁気回路の試作):開発した「完全一体型ESR・MRI融合装置」は、内輪マグネットと外輪マグネットから構成されており、内輪マグネットは固定されて回転しないが、外輪マグネットは回転する構造となっている。本磁石の磁場強度は、内輪マグネットと外輪マグネットの発生磁場方向により瞬時に可変することが可能である。互いの発生磁場方向がゼロ度(同方向)の時に1.0Tesla、180度(正反対)の時、0.025Teslaとなるように設計している。ESR、MRI両用共振器は内輪マグネット内に装着し、測定試料である動物は、一切動かす必要のない構造とした。 一体型磁石と共に、完全一体型ESR・MRI融合装置の開発に不可欠なのが、ESR・MRI両用共振器の開発である。測定対象となる実験動物などを一切移動させない為にも、この両用共振器の開発も不可欠であった。研究分担者の平田の協力により、ESR・MRI両用共振器の開発を現在進めている。この共振器は、ESR信号観測用にブリッジ・ループ・ギャップ共振器と、NMR信号観測用にパラレルコイル型共振器を組み合わせたメカニズムで、ESR共振周波数f=750MHz、NMR共振周波数f=44-50MHzでの稼働を予定している。
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