本課題研究"完全一体型ESR・MRI融合装置による機能イメージングの研究"においては、以下に示す3つの研究プロジェクトから構成されている。平成19年度では、プロジェクト1の「完全一体型ESR・MRI融合装置の開発」ハードウエアとソフトウエアの開発を進め、平成20年度では、ESR・MRI融合装置を安定に稼働できるように改良を進める一方、プロジェクト2の「マルチモダル・プローベの合成、フアントム実験、動物実験」について進めた。 本年度は、マルチモダルプローベを生体で使いやすく改良を進めながらESR・MRI融合装置を用いた応用研究を行った。研究成果1:マルチモダルプローベの改良を進めた。ESRでもMRIでも視覚化できる常磁性のプローベ(LiNc-BuO)を開発していたが、生体での分散性に問題があった。つまり、腫瘍内に投与しても投与場所に止まってしまう傾向になった。本プローベを最粉砕技術を使いナノ粒子化することが可能となった。ナノ粒子化したものを更に分散剤で分散化すると、腫瘍内分散性の優れたプローベを作り出すことが可能となった。 研究成果2:成果1でのプローベを活用してESR、MRI画像を撮像し、両画像を重ね合わせる試みを行った。現在、腫瘍内の解剖画像と酸素濃度画像を重ね合わせる試みを行っている。研究成果3:マルチモダル・プローベの合成の応用として、LiNc-BuOの環状構造を修飾して、ナイトロオキシド化合物の結合化を試みている。このプローベで、ファントム実験を行ったので、現在、動物実験を進めており、ナイトロオキシド分子を通してMRIにより解剖画像を、酸素濃度情報はESRにより得ることが可能となった。
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