研究課題
放射線治療に対する応答には個体差が存在し、個々の症例で治療効果は異なるので、治療効率を向上させるには腫瘍の放射線治療に対する感受性を予測する必要がおる。本研究では子宮頸癌を対象に放射線治療効果予測因子を同定するために(1)癌組織から抽出した遺伝子群の相互作用の把握と検証(2)患者血液を用いてバイオマーカーの探索と検証を行った。すなわち、ゲノム解析で抽出された遺伝子群に順位相関解析を行い、効果予測に重要な遺伝子群を選択し、Real-time PCR法を用いて再現性を確認した。一方、バイオマーカーについて、進行期子宮頸癌の放射線治療効果が初診時の血清で予測できるか否かを検討した。すなわち、放射線治療を施行した進行期子宮頸癌の初診時に採取した血清を用いて2回に分けてプロテインチップにより検討した。最初に2例の正常女性、6例の進行期子宮頸癌(治療効果良好群3例、不良群3例)の血清を用いた。次に4例の正常女性、12例の進行期子宮頸癌(治療効果良好群8例、不良群4例)の血清を用いた。得られたプロテインチップについて、ProteinChip SELDIシステムModel PBS II C(BioRad社製)を用いて、SELDI-TOF-MSにより各分子量に対する相対強度チャートを得た。1回目の検討により得られたチャートから、各群間で相対強度が異なる分子量を探索したところ、12のピークが候補に挙がった。さらに2回目の検討により123のピークが候補に挙がった。1回目と2回目の検討結果について条件を同一にして検証した結果、3ピークの再現性を確認した。とくにある1つのピークを示した蛋白は治療効果不良群に有意に発現が低下していた。したがって、我々が検出した蛋白は進行期子宮頸部扁平上皮癌の放射線治療効果予測因子として有用なバイオマーカーの可能性があると考えられた。
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