研究課題/領域番号 |
19390327
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
三森 文行 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 室長 (90125229)
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研究分担者 |
渡邉 英宏 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 主任研究員 (60370269)
梅津 豊司 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 主任研究員 (00223610)
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キーワード | 高磁場MRI / 生体分子 / フェリチン / 磁性 / 分子イメージング |
研究概要 |
In vivoスピンエコー画像測定において、スライス選択やエコー信号の不完全なリフォーカスによる信号損失を防止し、マルチエコー法により正確なT_2緩和時間を測定できるMASE(Multiecho Adiabatic Spin Echo)法を構築した。今年度、シムコイル電源を強化した4.7T高磁場MRI装置を用いて、男女それぞれ6名、計12名の健常被験者の大脳基底核部位を含む軸位断面においてMASE法を用いて、1×2mmの分解能を有する良好なT_2マップを得ることができた。皮質で得られたT_2値は淡蒼球の38±2msから前頭葉皮質の64±2msと部位により大きな変化を示した。各部位で得られた横緩和速度(1/T2)を文献上に報告されたそれぞれの部位の非ヘム鉄濃度に対してプロットするときれいな線形相関が得られ、その比例係数は0.551(s・mg Fe/100g f.w.)^<-1>、y切片は14.1s^<-1>、その相関係数は0.997ときわめて高い相関を示した。y切片の逆数より得られるT_2=71.3msは、鉄をほとんど含まないとされる視放線部位の白質で実測されたT_2値、69±2msときわめて良い一致を示した。この結果は、健常者のin vivo脳組織で観測されるT_2値は組織内に含有される非ヘム鉄(大部分がフェリチンに結合したFe^<3+>)濃度により支配的に決定されることを示している。さらに、線形相関の比例係数0.551を、これまで0.05〜1.5Tの低磁場で摘出組織で測定された値と比較すると、これまでで最大の値であり、その大きさは観測磁場B_0に比例する(相関係数0.99)ことが明らかになった。この結果はフェリチン分子内の鉄ポリマー核が示す超常磁性と良く一致する。以上の結果は、ヒト脳組織T_2を正確に測定することにより脳組織内のフェリチン鉄濃度をin vivoで定量できる可能性を示す。
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