研究課題/領域番号 |
19390327
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
三森 文行 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 室長 (90125229)
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研究分担者 |
渡邉 英宏 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 主任研究員 (60370269)
梅津 豊司 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 主任研究員 (00223610)
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キーワード | 高磁場MRI / 生体分子 / フェリチン / 磁性 / 分子イメージング |
研究概要 |
MRIの緩和速度を用いてヒト脳内におけるフェリチン鉄を定量できる可能性を検証するためにさらに多数の健常被験者において基底核部位を含む軸位断の4.7Tの磁場強度でのT_2マップの集積を行った。被験者は男性26名(21-71歳、mean±SD=41.8±16)、女性28名(20-64歳、mean±SD=39.8±12)の計54名である。前頭皮質、尾状核、被殻、淡蒼球、視床の5部位で得られた見かけの横緩和速度R_2^†(=1/T_2^†)より、昨年の12名集団で得られたR_2^†と非ヘム鉄濃度([Fe])との線形相関関係(R_2^†=0.551[Fe]+14.1)を用いて個人ごとの各部位の[Fe]を推定した。この結果、各部位の推定値はHallgrenらが死後脳で実測した値とよく一致するのみならず、年齢依存変化も実測の結果を再現することがわかった。すなわち、視床部位では鉄は年齢とともに減少、それ以外の4部位では年齢とともに増大する傾向が見られた。増大についてはHallgrenらの指数関数的増大に従ってフィットを行うと中程度の相関係数(0.3~0.4)を有する有意な相関が得られた。さらに脳内[Fe]値の推定精度をあげるために、組織中における大分子量成分の存在比(f_M=1-水の存在比)が横緩和速度に対する寄与を考慮にいれた多重相関解析を試みた。この結果、R_2^†=0.470[Fe]+24.9f_M+9.53なる相関式が得られ、相関係数は0.99に上昇した。この新しい相関式を用いて推定された[Fe]の30歳以上の健常者での平均推定値と実測値との誤差はどの部位においても±2mg/100g組織湿重量に納まり、単純比例式では推定不能であった白質部位においても実測値と良く一致した推定値が得られることがわかった。これによりヒトin vivo脳における非ヘム鉄濃度の無侵襲定量法が確立できた。
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