研究概要 |
リンパ浮腫はリンパ管の形成不全、途絶、閉塞により発生し、患肢の高度の腫脹を特徴とし患者の″Quality of life″が著しく障害される難治性疾患である。これに対し有効な治療法が開発されないまま現在に至っている。本研究の目的は新しく発見されたHGF-リンパ管新生遺伝子と最も有効な外科治療法とされる"Enteromesenteric bridge法"を併用することにより新しいリンパ浮腫治療法を動物実験において開発・確立することにある。 1、 HGFによる遺伝子治療の安全性 マウス大腸癌細胞CT26及び肺癌細胞LL/2にHGFプラスミドを遺伝子導入し増殖能を検討したところ、c-fos promoterassayにおいてはcontrol群に比べ有意に増殖能が上昇することが確認された(CT26; control群,17841.167RLU,HGF群,26687.5RLU,p<0.01,LL/2;contrl群,504.5RLU,HGF群,802.667 RLU,p<0.05)。しかしMTS assayで検討すると有意差はなかった(CT26;control群,1.085,HGF群,1.074,LL/2;control群,1.687,HGF群,1.702)。これらの結果からIn vitroにおいてHGFの癌細胞に対する増殖能を判断するのは困難と考え、今後は担癌マウスモデルにHGFプラスミドを導入し癌の増殖、転移を評価して検討を重ねる予定でいる。 2、 リンパ浮腫モデルの確立 ビーグル犬を用い四肢の皮膚、軟部組織、リンパ管及びリンパ節を郭清することでリンパ浮腫モデルの確立を試みている。現在前肢、後肢でそれぞれ検討しているが面積で約15%程度の腫脹を認めており、今後近赤外線リンパ管撮影装置のよってリンパ流を評価する予定でいる。
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