研究課題/領域番号 |
19390333
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
興津 輝 京都大学, 医学研究科, 助教 (10378672)
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研究分担者 |
小寺 秀俊 京都大学, 工学研究科, 教授 (20252471)
川野 聡恭 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00250837)
新宅 博文 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (80448050)
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キーワード | 膵島移植 / 膵島分離 / 膵島純化 / せん断 / 粘度 |
研究概要 |
膵島移植のための膵島分離工程のうち、膵外分泌腺組織と膵島組織の比重の違いを利用して消化膵組織より膵島組織のみを抽出する膵島純化工程において、せん断が分離膵島の破壊に関与していることを流体力学的解析によって明らかとし、粘度の低い溶液を使用することで分離膵島量を向上させることに成功した。臨床での膵島純化は標準的にCOBE2991細胞分離装置内にFicoll溶液による比重濃度勾配の形成によって行われる。まず、計測流体力学(computational fluid dynamics)を用いた数値計算により純化操作中のせん断力を算出し、次に粘度計による実測値より導いたせん断力の大きさ・加重時間と膵島破壊の程度との関係から、臨床膵島純化前後のブタ膵島の直径比(純化後/純化前)の理論値を求めた。これによって、膵島純化における分離膵島の破壊にせん断力が関与していることが明確となった。また、せん断力は比重濃度勾配を形成する溶液の粘度と正の相関を有することが判明した。すなわち、粘度を調節することによって膵島破壊の要因となるせん断力を制御できることが分かった。標準溶液であるFicoll溶液よりも低粘度のM-Kyoto/Iodixanol溶液を用いて膵島分離を行うことによって分離膵島へ負荷される力学的破壊を減少させることができ、分離膵島量を向上させることができた。膵島移植の成績は移植され生着する膵島量に依存する。より多くの分離膵島を回収することを可能とする今回の膵島分離手技の改良は膵島移植成績の向上に貢献する。
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