研究課題/領域番号 |
19390333
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
興津 輝 京都大学, 医学研究科, 助教 (10378672)
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研究分担者 |
小寺 秀俊 京都大学, 工学研究科, 教授 (20252471)
川野 聡恭 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00250837)
新宅 博文 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (80448050)
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キーワード | 膵島移植 / 膵島分離 / 膵臓消化 / ナノバブル / 溶存酸素 / シラス多孔質ガラス膜 |
研究概要 |
膵島移植のための膵島分離工程のうち、膵管から逆行性に膵臓内にコラゲナーゼ溶液を注入した膵臓を体温付近の温度に上昇させることによってコラゲナーゼを活性化させ、膵組織を分解し、内分泌細胞塊である膵島を膵外分泌組織より遊離させる膵臓消化工程において、膵組織が溶液中の溶存酸素を消費していることを明らかとした。ヒト膵臓とサイズが近似しているブタ膵臓を対象として、ブタ膵臓を含む溶液の温度を4℃から37℃まで変更可能で、溶液の酸素濃度を測定可能な密閉式の容器を開発し、この装置を用いて溶液の温度を4℃から37℃にした場合、温度依存性に溶液の含有酸素濃度が減少することを観察した。このことから消化工程にある膵臓には酸素の供給が必要であることが判明した。そして、酸素供給を目的として、酸素をナノバブルとして溶液中に溶解し、膵臓に効率的に酸素を運搬するための装置を開発した。ナノスケールの均一な細孔径を有するシラス多孔質ガラス膜(Shirasu porous glass membrane : SPGM)を円筒状にしたものに高圧の酸素を通すことによって酸素のナノバブルを発生させ、溶液中の酸素含有量を上昇させることができる。これによって、消化工程での膵組織の低酸素による組織障害は軽減され、良質の膵島を分離することが可能となることが期待できる。膵島移植の成績は移植され生着する膵島量に依存するため、今回の膵島分離手技の改良は膵島移植成績の向上に貢献する。
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