研究概要 |
胚性幹細胞(ES細胞)から機能的な肝細胞(ES-Hep細胞と以下、略す)を分化誘導し、バイオ人工肝臓システムへの応用に関する基礎的研究を施行することを本研究の目的とした。 ヒトES細胞から、胚様体を2日間形成させた後に、Activin-A(100ng/ml)をbFGF(100ng/ml)を培養液に添加することで3日間培養しDefinitive endodermへの分化誘導を行った。その後、肝細胞成長因子HGF(100ng/ml)と1%DMSO(dimethyl sulfoxide)にて8日間培養し、最後に3日間デキサメサゾンを添加することで肝細胞への分化誘導を施行した。経時的に、RNAを抽出してOct3/4, Nanog, Sox17, Albumin(アルブミン)、AFP(アルファ胎児性蛋白)、CF VII(第7血液凝固因子)、ASGPR(アシアロ糖蛋白レセプター)の発現を検討した。内因性コントロールとしてGAPDHを使用した。 上記分化誘導法にて、未分化マーカーであるOct3/4、Nanogの発現は減少し、Albumin、CF VII、ASGR1の発現の上昇が認められた。特に、ASGPRの発現が認められることから蛋白発現が認められれば、ASGR1陽性細胞のみを選択的に回収することができる。今後のES-Hep細胞研究に大いに有効なデータを得た。
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