研究概要 |
本年度の研究計画に沿って成果を記載する。 1.各種癌細胞・癌組織における形態形成シグナルの網羅的解析について: 乳癌(Kubo, et. al.Cancer Res,2004)に引き続いて、胃癌におけるHedgehog (Hh)シグナル系の活性化およびHhシグナル活性化と組織型分化度との相関(Yanai, et. al.J Surg Oncol,2007)、大腸癌におけるNotchシグナル活性化(Akiyoshi, et. al.Gastroenterlogy,2008)を明らかにした。さらに、胃癌でのHhシグナル活性化の一因として間質単球の関与を見出している(Yamasaki, et. al.in preparation)。 2.各種癌細胞における形態形成シグナル系の生物学的機能の解析による治療標的シグナルの探索: Hhシグナルの胃癌の増殖への関与(Yanai, et. al.J Surg Oncol,2007)、乳癌の増殖および浸潤への関与(Kameda, et. al.submitting)、膵癌浸潤への関与(Nagai, et. al.,Cancer Sci,in press)を明らかにした。 3.臓器特異的形態形成シグナルを制御している二次的臓器特異的シグナル系の探索: 膵癌におけるHhシグナル活性化を制御するシグナルとしてのNF-kB経路に加え、乳癌でのHhシグナル系を制御するEstrogen receptor系の関与を明らかにした(Koga, et. al.Anticancer Res,2008)。 4.治療標的となる臓器特異的形態形成シグナルネットワークの探索: 大腸がんにおけるHhシグナルとWntシグナルのクロストークに加え、胃癌におけるHhシグナル系とWntシグナル系のクロストークの存在を明らかにした(Yanai, et. al.Cancer Lett,in press)。 以上、本年度の研究目標はほぼ達成した。さらに、本研究中に、g-secretase阻害剤が大腸がんのtaxane感受性を増大するという興味ある結果が得られた(Akiyoshi, et. al.Gastroenterology,2008)。
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