研究課題
血管構成細胞であるHUVEC・C3H10T1/2とコラーゲンゲルによる細胞-細胞外マトリックスコンポジット移植をマウス頭部クラニアルウインドウ内に移植し、微小血管ネットワークの再構成が可能であるか否かを検証し、さらに、血管ネットワーク内での肝組織の再構成を試みた。本年度は、In vivoの現象を生体外部から観察することのできるクラニアルウインドウ法を用いて、複数の異なる血管構成細胞を移植することにより、血管ネットワークの再構成が可能であるか否かを検証した。クラニアルウインドウは、6週齢のNOD/SCIDマウスの頭蓋骨をマイクロドリルを用いて円形に除去し、円形スライドガラスで封入することにより作製した。細胞-細胞外マトリックスコンポジットは、Rat Tail Collagen-Type I Gelに、ヒト血管内皮細胞(HUVEC)0.8×10^6個とマウス間葉系前駆細胞(C3H10T1/2)0.2×10^6個を共に包埋することにより作製した。細胞を包埋して24時間後、あらかじめ作成しておいたクラニアルウインドウに細胞-細胞外マトリックスコンポジットを移植した。移植後16日目にFITC-Dextranにより血流を可視化してライブ観察を行った結果、HUVECとC3H10T1/2により再構成された血管が観察された。これと同一の再構成された血管は、移植後37日目でも引き続き観察され、移植後136日でも安定して存在しつづけることが示された。次に、レトロウィルスベクターを用いてEGFP(enhanced green fluorescence protein)遺伝子でマーキングしたHUVECを用いて同様の手法により血管ネットワークを再構成し、移植後20日目にRhodamin-Dextranを尾静脈注射することにより血流を可視化しライブ観察した結果、再構成血管はホストマウスの血流を伴っていることが明確に確認された。以上により、血管構成細胞であるHUVEC・C3H10T1/2とコラーゲンゲルによる細胞-細胞外マトリックスコンポジットの移植による微小血管ネットワークの再構成が可能であることが明らかとなった。今後、肝細胞や肝幹細胞を共に移植することにより、血管構造を有する肝組織の再構成を試みていく。
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