研究概要 |
当該年度は, 切除不能進行再発膵癌に対する腫瘍血管を標的としたHLA-A2402拘束性エ-ピトープペプタイドとgemcitabine併用による第II/III相臨床試験を精力的に行った. 「研究概要」腫瘍新生血管および前述のVEGFR2(KDR)は,多くの固形腫瘍の腫瘍(微小)組織に発現していることが知られており,VEGFR2の発現が,癌細胞の増殖と強く相関していることも明らかとなっている.VEGFR2が免疫療法の標的となり得るか?に関しては,VEGFR2蛋白およびDNAをワクチンとした基礎研究の結果,腫瘍新生血管を抑制することで抗腫瘍効果を誘導し,これはVEGFR2特異的細胞傷害性T細胞が担っていることが確認されている.更に,共同研究施設(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター)において,強力な細胞傷害性Tリンパ球(CTL : cytotoxic T lymphocyte)を誘導できる数種類のHLA-A2402拘束性のエピトープペプチドが同定されたばかりである(Cancer Res 65 : 4939-4946, 2005).そこで, 膵癌に対する化学療法剤として認可され,腫瘍免疫系を抑制しないと考えられているgemcitabineを使用し,併用するワクチン製剤にはVEGFR2由来でHLA-A2402拘束性のエピトープペプチドRFVPDGNRIを用いた. 「研究体制」本研究は膵癌を対象としており,研究代表者:山上裕機を総責任者,研究協力者として,谷眞至,川井学,宮澤基樹,松田健司で試験計画を遂行する.免疫学的評価に関するアドバイスは東京大学医科学研究所ヒトゲノムセンター中村祐輔教授,角田卓也客員研究員より受けた. 以上の臨床研究の予定症例数の登録を終了し,追跡調査中である.
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