研究課題/領域番号 |
19390344
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
七戸 俊明 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70374353)
|
研究分担者 |
近藤 哲 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30215454)
平野 聡 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (50322813)
宮本 正樹 北海道大学, 大学病院, 助教 (40333611)
|
キーワード | 食道癌 / 遺伝子治療 / 細胞治療 / PEDF / 新生血管内皮 |
研究概要 |
血管新生阻害因子としてPEDF(Pigment Epithelium Derived Factor)を利用した。食道癌細胞においてPEDF発現をスクリーニングした後、レンチウイルスベクターを用いてPEDF遺伝子をSGF7、TE8、HEC46に導入し、遺伝子発現をWestern Blotで確認した。培養上清にPEDFタンパクが分泌されていることを同時に確認した。それぞれの株から得られた培養上清を用いて培養された血管内皮細胞(HUVEC、HMVEC)は対照群と比較して増殖及び遊走が低下することを確認した。これらの食道癌細胞株をSCIDマウスに移植すると、増殖が抑制される株とそうでない株が存在することが明らかになった。増殖が抑制される株は対照株と比較して有意に腫瘍内新生血管内皮細胞数が低下していたことに加え、末梢血中の血管内皮前駆細胞(EPC)数が低下していることが明らかになった。また、遺伝子導入によって増殖低下の見られない細胞株は、親株自体の新生血管内皮が少ないことや、腫瘍内部が壊死をおこしながら腫瘍辺縁部分のみが増殖する性質を有していることが判明した。以上(現時点での研究成果)を要約すると、食道癌細胞では、血管新生抑制因子による遺伝子治療において、効果が期待される症例とそうでない症例が存在することが予想される。また、腫瘍増大に必要な血管新生に利用される前駆細胞のうち、骨髄由来の細胞の遊離は、腫瘍から分泌される因子(現時点では不明)に依存している可能性があり、この因子にたいしてPEDFが作用していることが示唆された。これらの因子およびPEDFの受容体を同定するために、各細胞株で発現する受容体と推定されるタンパクを分離した。
|