胆管癌幹細胞の分離およびその網羅的遺伝子解析 1.細胞株における検討 肝幹細胞ではCD45陰性、TER陰性、CD49f陽性、CD29陽性、c-kit陰性、c-Met陽性と考えられている。胆管癌由来細胞株からCD29陽性、c-kit陰性細胞をセルソーターにて分離した。これらの細胞について無血清培地にて培養後、血清を加え、肝細胞のマーカーであるアルブミン、胆管細胞のマーカーであるサイトケラチン19に関して免疫染色をおこなった。CD29陽性、c-kit陰性細胞において免疫染色にてアルブミン、サイトケラチン19の発現の確認でき、この細胞群の中に分化能をもつ胆管癌幹細胞の存在が示唆された。さらにCD45陰性、TER陰性、CD49f陽性、c-Met陽性細胞について同様の検討をおこなう予定である。 2.臨床検体を用いた検討 臨床検体の使用に関して名古屋大学医学部倫理委員会より研究課題名「胆道癌、膵癌、乳癌における癌幹細胞の網羅的遺伝子解析」にて承認された。名古屋大学における胆管癌手術症例より胆管癌組織を収集し、CD29陽性、c-kit陰性細胞をセルソーターにて分離した。ソーティングによる細胞の回収が不十分であった。これはソーティング前の処理が不十分なため細胞以外の組織成分の混入したと考えられた。 今後の方針としてソーティング前に磁性ビーズによる分離をおこない、ソーティングの精度を上げ、回収した細胞に関して網羅的遺伝子解析をおこなう予定である。
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