癌の原因として腫瘍特異的な遺伝子変異以外のepigenetic changesも関係していると考えられる。本研究では、遺伝子解析の進んでいるGISTをモデルとして、タンパク質翻訳後の糖鎖修飾によるタンパク質機能変化の有無を、遺伝子変異ない若年型GISTでの糖鎖修飾の変化とその際のチロシンキナーゼの活性化変化を明らかにする事を目的としている。本年度は以下のことを明らかにした。 若年性GISTに於ける糖鎖修飾遺伝子変異の同定とシアル酸付加KIT量の比較 DNAマイクロアレイ解析:シアル酸転移酵素発現を若年型GISTと成人型について比較した。その結果、N型糖鎖のGal末端に2-6シアル酸を付加する転移酵素であるST6Gallが若年発症型GISTで有意に低下していることを発見した。さらに定量的PCRを用いて若年型GISTで約5倍の発現量低下を認めた。 シアル酸修飾KITの発現量変化:SSA-レクチンアガロースを用いたレクチン沈降法を用いて、2-6シアル酸付加タンパクを濃縮、Western Blottingを用いて検討した。若年型GISTでは、成人型GISTに比して2-6シアル酸修飾KITの減少を認めた。 以上より、ST6Gallの低下がKITのシアル酸修飾を減少させ、その活性変化に関連している可能性が示唆された。
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